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名古屋高等裁判所 昭和41年(ネ)745号 判決 1967年9月29日

控訴人(原告)

加藤静子

外三名

代理人

岩瀬丈一

被控訴人(被告)

宮崎物産株式会社

代理人

富田博

主文

原判決を取り消す。

昭和三七年一〇月三日愛知県額田町大字宮崎字堂庭二六番地被控訴会社の本店において開催された、会社の臨時株主総会における取締役に大竹治郎、大竹君代、清水清、大久保剛、大久保利彦、監査役に朝岡正、田中功二、松原近司を選任する旨の決議はこれを取り消す。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は主文と同旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述、立証関係≪中略≫

被控訴代理人は、亡加藤芳蔵は被控訴会社の千株の株主たる資格をもつて、商法第二四七条第一項により本訴を提起したところ同人はその後の昭和三八年四月一八日死亡したものである。この株主総会決議取消権は株主が会社の機関たる地位において有する権利であるから、決議当時の株主においてのみよくこれを行使、維持できるものであり一身専属的性質を有し、相続、譲渡等によつて移転し得ないものであるから、右芳蔵の死亡と同時に本訴は当然終了したものというべく、控訴人らの訴訟承継は認められないから本訴は失当である。(参照仙台高裁昭和三一年四月三〇日判決)≪後略≫

理由

本件記録に徴すると、本件当初の原告加藤芳蔵は昭和三八年四月一八日死亡しその相続人たる控訴人らにおいて訴訟手続受継をなし、差戻後の当審に至るまでは右受継につき異議がなかつたことが認められるが、当審における被控訴代理人の右承継の可否についての主張は事の性質上時機におくれた抗弁として却下するには適しないので、まず、この点につき判断する。

本件訴訟が商法第二四七条第一項に基くものであることは弁論の全趣旨に徴し明白(請求の趣旨を決議無効と記載しているが現行商法二五二条の訴ではない)であり、かような株主の株主総会決議取消権が一身専属的性質を有し相続によつても移転できない趣旨の議論もあるが、訴提起の要件としてとくに決議に対する異議の申立を要求しない現行商法のもとにおいて、本件のような包括承継の場合にまでも原告の資格を承継できないと解することは相当でなく、論旨引用の判決例には賛成できず、本件訴訟が前記芳蔵の死亡により当然終了したものとはみられない。≪以下、省略≫(石谷三郎 渡辺門偉男 小沢博)

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